AIは既に同僚だった──福山出張で見た現場の現実

コラム

昨日は萩から福山まで出張でした。萩循環まぁーるバスに乗って、萩バスセンターへ。そこからスーパー萩号に乗って新山口まで出ます。新山口からは、タイミングのよい新幹線がなかったので、広島で乗り換えて福山へ。

福山駅は目の前に福山城があります。江戸時代初期の平山城で、1622年に徳川家康の従兄弟である水野勝成によって築かれました。山陽道の要衝を押さえる重要な拠点として建設され、当時としては最新の築城技術が用いられています。

日本各地にお城はあまたありますが、新幹線のホームから見ることができるお城というのは、なかなかないのではないでしょうか。内部は博物館になっているとのことなので、次回は時間の余裕を作って訪れたいです。

今回は弾丸出張でした。13時から17時までびっちりワークショップです。お客様も大変だったと思いますが、4時間立ちっぱなしのわたしの腰は限界を迎えそうでした。考えてみたら、萩からバスに乗って新幹線まで、3時間以上は座っている状態だったわけです。

ワークショップ自体は大成功でした。もう、どこの地方のお客様に行っても、AIは当たり前のものとして受け入れられています。ChatGPTを使ったことのある方? と挙手を求めたら、半分は経験者です。日ごろの生活では普通に使っている人がずいぶん増えました。

ビジネスでも、どのような仕事をAIにやらせてみたいですか、AIではなく24時間365日働き続けることのできる、会社のことは知らないけれど世間のことは誰よりも知っている人間が同僚として入社すると思って、考えてみてください、という問いかけをすると、やってほしいことが山のように出てきます。それがそのまま、その会社における解決をしないといけない課題なのです。

なにをやってほしいか、彼・彼女(AI)がその仕事をやる上で必要な社内の情報やデータはなにか、アウトプットの期待値と効果。そういったものをチームに分かれて議論します。今回は35人、7チームという大人数でしたが、メインファシリのわたしがケアをする必要もないくらい盛り上がっていました。

最後には、AIに名前を付けて、AIの履歴書というか、職務指示書を作ってもらいます。人間が入社したときに多かれ少なかれ作っているものと同じものです。7チームが2つずつAIの職務指示書を作りましたので、合計14ものAIエージェントが誕生したことになります。

7月16日に行われたSoftBank World 2025で、孫正義さんが「年内に10億のAIエージェントを作る」と宣言しました。彼の構想では、社員1人に1,000個のAIエージェントを稼働させ、しかもそのAIエージェントが自己増殖し自己進化をします。ソフトバンクでは携帯電話網を管理するために数十万のネットワーク機器を管理していますが、これらをAIエージェントで常時監視し、必要なアクションを取らせるというものです。

ニュースを聞いた段階では絵空事に聞こえましたが、今回のワークショップで実際にお客様の声を聞いていると、あながち現実離れした話ではないな、と感じました。わたしが訪問した地方のお客様、どこも人手が不足しています。社員の方々は毎日残業をし、大変な苦労をされながら日々仕事に邁進しておられます。

孫さんの発表は、AIエージェントが単なるツールではなく、24時間365日、常に学び、進化し続ける「デジタル労働力」として社会を変革する可能性を示したという意味で重要だと思いますが、孫さんが言うまでもなく、既にビジネスの、しかも地方のビジネスの現場がそれを求めているのです。

マスメディアや科学者が心配しているような、仕事をAIに取られてしまうというようなせせこましい発想は現場にはありません。現場では、すでにAIは同僚として受け入れ、迎え入れる準備が、心の上でも仕組みの上でもできているのです。今回の出張で痛いほどそれを感じさせられました。

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