近年、AI技術の飛躍的な進歩により、自動翻訳ツールは日常生活やビジネスシーンで広く活用されています。Google翻訳やDeepLなどの高度な翻訳サービスは、以前に比べて格段に精度が向上し、リアルタイムでの会話翻訳も可能となっています。
例えば、最近では外国人が作成したYouTubeの動画も自動的に日本語に翻訳され、テキストだけでなく音声も日本語で聴くことができます(ただし専門用語や方言などでは精度が落ちることもあります)。ビジネスの世界でも、SlackなどのコミュニケーションツールはAIが言語の壁をほぼなくしてくれています。
このような環境のなか、わたしたちは英語を勉強する必要があるのでしょうか。
AIによる自動翻訳の最大の利点は、迅速かつ手軽に多言語間のコミュニケーションを可能にすることです。特に旅行やビジネスの現場では、言語の壁を瞬時に解消し、基本的な意思疎通を助けてくれます。さらに、専門的な文書や技術資料の翻訳にも対応しており、専門知識がなくても大まかな内容を理解することができます。
しかし、いかに優れたAI翻訳ツールであっても、完璧なコミュニケーションを保証するものではありません。文化的なニュアンスや微妙な感情表現、ユーモア、皮肉といった要素は、翻訳ツールでは十分に再現できないことがあります。例えば、日本語特有の「察する文化」や、英語圏のジョークのニュアンスは機械翻訳では伝わりにくい側面があります。
加えて、リアルタイムでの自然な会話の流れや、相手の意図を深く理解するためには、やはり言語そのものへの理解が求められます。特に、外国人と深い友人関係や信頼関係を築くことを望む場合、言語の壁を超えて直接心を通わせる能力が重要となります。
したがって、外国人と深い人間関係を築きたいと考えるなら、英語学習は依然として重要です。言語を学ぶことで、単なる言葉のやり取りを超えた、心と心のつながりを育むことができるからです。
一方で、日常的なコミュニケーションやビジネス上の情報交換だけが目的であれば、自動翻訳ツールで十分対応できるでしょう。
個人的な見解を述べるなら、人間関係の深さや目的によって言語学習への姿勢は異なってくると思います。私自身は英語圏の情報にアクセスすることが主な目的であれば、現在の翻訳技術で十分対応できると考えています。
AIによって言語の壁は確実に低くなりつつあります。英語学習に苦手意識があるなら、まずは翻訳ツールを積極的に活用して異文化や情報へのアクセスを広げ、必要に応じて徐々に言語学習を進めていくというアプローチも有効ではないでしょうか。