わたしはAIと一緒に小説を書くのが好きです。いろんなことを議論しながら、やりとりを通じて、自分の考えをまとめていく。そのプロセスが、とても楽しいのです。
実際の文章自体は、自分で書きます。けれど、アイディア出しや発想のヒント、ファクトチェック、校正など、いわゆる「第三者の目」が必要な場面では、AIが優秀な編集者として力を貸してくれます。
ただし、注意点もあります。
まず第一に、回答を鵜呑みにしないこと。これは本当に重要です。
AIはあくまで、自分とは違う人格を持った「他者」として接するべき存在です。その人(AI)が言っていることが本当に正しいのか、あるいは、自分の感覚に合っているのかを、きちんと自分で見極める必要があります。
たとえば、歴史的な事実に関する記述。これは一見、客観的なように思えても、モデルによって微妙にニュアンスが違ったり、出典のない断言が混じっていたりします。さらに文体や表現の指摘になると、これはもう完全に「感覚」の領域です。AIの提案が必ずしも正しいわけではありません。むしろ、議論を通して考えを深め、最終的にAIとは異なる結論を採用することの方が多いくらいです。
「最も大事なのは、自分のセンス」
これはAIに限らず、人間相手でもまったく同じです。他人の意見はありがたく受け取る。でも、最後に決めるのは自分。そういう謙虚かつ責任のある姿勢が、創作には欠かせないと思っています。
もうひとつ、特に長編小説を書くときの注意点があります。
それは、AIには全体を見通したアドバイスは難しいということです。有料版であっても、1回のチャット内で扱える情報量には制限があります。日をまたいでの会話であっても、過去のやりとりを完全に保持したうえで、全体を俯瞰しつつ各章の構成や描写について助言をするのは、いまの技術では限界があります。
だからこそ、全体の設計や構成、構想といった部分は、書く側が主導してコントロールし、マネージする必要があるのです。
AIは、わたしの代わりではなく、能力や時間を「補完」してくれる存在です。そして、それで十分です。仮に将来、AIがもっと賢くなって、わたしの代わりに小説を書くことができるようになったとしても――文章を書くことの楽しさは、わたしにとって誰にも明け渡せないものです。
これからも、AIと一緒に文章を書くことを、楽しんでいきたいと思います。
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