萩の猫たち

コラム

萩に来て、猫をよく目にする。今の家を買う前に下見に来たときも、毛の長い猫が私のそばから離れず、しきりに話しかけられた。下見には3回来たが、毎回だ。
実際に住むようになってからもその猫は、毎朝私の散歩の際に姿を見せて話しかけてきた。この夏、相方と愛猫を連れてきたときも挨拶をするように家の門の上でに座っていたりした。
今回は、その毛の長い猫が見当たらない。朝の散歩の時も、夕方の買い物の時も姿を見かけないので、少し心配している。

しかし、新しい猫との出会いもあった。しかも1匹ではない。3匹、いや4匹か。
まず、志都岐山神社で茶トラが1匹。家の近所でシバが1匹。毛利輝元像の前で黒猫が1匹、鍵曲のところで茶系が1匹。
どの猫も不思議に逃げずにこちらをじっと見ていた。

もちろん、福岡でも猫は見かけるのだが、気持ちこちらの方が数が多い気がする。
家の近所には「猫町(ねこのまち)」という通りがあって、その名前には曰くありげな話が伝えられている。

江戸時代の武将・長井元房という人が毛利輝元に殉死した際、元房が可愛がっていた猫も主人の後を追って死んだという。その猫を哀れんだ僧が供養したことから、長井元房が住んでいた屋敷があった場所が「猫町」と呼ばれるようになったのだそうだ。

毛利輝元はもちろん長井元房が葬られている寺は天樹院といって、私の散歩コースの1つだ。私は彼らに毎朝手を合わせているのだが、この文章を書きながら、ちゃんと猫にも手を合わせないといけないと思い至った。亡くなったうちの喜与、五輝にもここで手を合わせておこう。

萩の町に猫が多いのは、もしかしたら、長井元房とその愛猫のお陰なのかも知れない。この10年、喜与、五輝、歩、七海と4匹の猫と縁を結んできた私にとって、やはりこの猫と縁の深い萩という城下町は、やはりご縁があったのだなぁという思いを強くしたのだった。

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