小説執筆プロセス見直しーーDrafts, Obsidian, Claudeの連携

コラム

今年の夏は、小説執筆のプロセスについても試行錯誤しました。正式な運用としては、以前も書きましたが、Draftsを中心とするプロセスです。アイディアから最終稿までDraftsで管理し、最終稿はWordにエクスポートして縦書きで原稿を整える、というものでした。

このやり方には実はいくつか不満があって、そのうちの一つがDraftsとClaudeの連携がいまひとつスムーズにいかないことです。Claudeでやり取りしたことをコピペでDraftsに集約していくという手動による連携なので、煩雑で執筆の集中力が削がれてしまうこともあります。

もう一つの不満は、Claudeでやり取りした内容のバックアップが明示的に取れないことです。Claude側で一括のエクスポートはできるのですが、できれば作品(原稿)ごとにやり取りを管理したいのです。

これらの問題を解決する方法として、この夏試行錯誤をし、何とか運用に乗りそうな方法を紹介したいと思います。

基本的には、

  1. アイディア・発想:Drafts
  2. アイディアの深掘り:Obsidian + Claude
  3. プロット作成:Obsidian + Claude
  4. 登場人物深掘り:Obsidian + Claude
  5. 執筆:Obsidian
  6. 校正:Obsidian + Claude

という流れになります。最初に、わたしのObsidian保管庫のディレクトリ構成を紹介しておきましょう。

  • 保管庫
    • 小説
      • アイディアメモ
      • 作品名
        • Claude対話ログ
        • プロット
        • 登場人物
        • 原稿
    • エッセイ
      • note投稿用
      • 日記・随筆
          • 第何週

アイディア・発想段階では、Apple Watchでアイディアをメモ出来るDrafts一択です。定期的にDraftsに溜まったアイディアを整理して、ものになりそうと判断できれば、「Send to Obsidian」というActionでObsidianの保管庫にテキストを転送します。このテキストは上記の「アイディアメモ」に蓄積されていきます。

アイディアの深掘りはClaudeとやります。そのために、ClaudeがObsidianの保管庫にアクセス出来るようにしなければなりません。わたしは「mcp-obsidian」というClaudeの拡張機能を使っています。これを使うと、例えば「私の保管庫の “小説/アイディア/xxxxx.md” というテキストについて議論しましょう」といった形でやり取りが出来るようになります。

今までは、コピペしたりファイルを添付したりしなければなりませんでしたが、その手間が無くなります。また、議論した内容は、ログにまとめてもらいます。「mcp-obsidian」の機能ではClaude側からObsidian保管庫に自動的に出力することができないので、まとめてもらったものをmd形式で「Claude対話ログ」に手動で保存します。これによって、Claudeとのやり取りを原稿ごとに管理できないという課題が解決します。

プロットのたたき台や登場人物の履歴書はObsidianで書きます。これも、上記と同様にClaudeに指示をしてレビューしてもらったり、プロットや登場人物の深掘りを行います。もちろん、ログも「Claude対話ログ」に保存していきます。

ここまで来たら、あとはObsidianに向かって執筆するだけ。ここはAIに手伝ってもらうことはあまりありません。時々、ファクトチェックや「Claude対話ログ」に溜められた過去のやり取りから情報を持ってきてもらったり、さらに深掘りしたりします。このやり取りも、「Claude対話ログ」に残して再利用可能にします。

原稿ができあがったら、校正です。このステップはClaudeの指摘が正しいとも限らないことが多いので、あくまで参考程度です。わたしの腹に落ちたらアドバイスに従う、という感じ。Claudeに指示するときは上記の要領と同じです。

最初に全部原稿を読んでもらい、全体の評価をしてもらいます(A、B、Cの三段階の判定。良いところと悪いところを具体的に指摘してもらう)。Claudeはよっぽどのことがないとネガティブなことを言わないので、自分のモチベーションを上げるためにやっているようなものです。

次に、全体の設定や時系列の矛盾などをチェックしてもらいます。面白いのは、このキャラクターはここでこういうことを言っていますが、この部分の行動と矛盾しますね、とか、このキャラクターはここでこういうことはしないのでは、とアドバイスしてくれることです。結構楽しいです。

次に、各章ごとに細かく、言い回しや誤字脱字のチェックを依頼します。このレベルになると、ちょっと当てにならないことも増えてきます。やってみて思うのは、Claudeは全部を説明したがる、という印象です。敢えて書かずに読者に考えてもらう、含みを残す、行間を読んでもらう、ということをあまり好まないようです。このあたりは、わたしの発想や感覚と異なることが多いので、あくまで自分の発想や感覚を優先します。ただ、あぁ、自分の頭の中では分かっていることが人には分からないんだな、という点が明確になったりするのは助かります。

最後にmcp-obsidianのセキュリティについて心配される方もいると思います。このツールはあくまで試験的なものであることは理解しておいた方が良いでしょう。とは言え、このツールはローカル環境で動作し、インターネット上への直接的な通信は行いませので、比較的安全と言えます。

また、何かあったときのためにバックアップを取ることをお薦めしておきます。バージョン管理ツールであるGitを使ったり、いろいろとバックアップの方法はありますが、わたしは、Obsidian Syncを使用しています。心配な方は他のクラウドツールとの連携も検討すると良いでしょう。

以上がDrafts、Obsidian、Claudeを使った新しい小説執筆プロセスの概要です。いま、試験運転中なので、次の新作をこのプロセスで書いてみて、また結果を報告したいと思います。

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