今回の萩滞在は、長期にわたっています。その間に、書斎の環境も整ってきたので、今日は書斎のデスク周りを紹介します。和室のデスク周りというのは珍しいと思います。興味のある方は参考にされてください。
以前、吉田松陰の生家である杉家旧宅を訪れたとき、安政2年(1855)から2年ほど幽閉されていた部屋を見ました。杉家旧宅は木造平屋建入母屋造瓦葺214平方メートルの住宅で、8畳3室、6畳3室、4畳、3畳7分、3畳半・3畳および2畳各1室ほか、板の間、物置・土間を有する大きい建物ですが、そのうちの東側にある3畳半の一室で彼は幽閉されていました。
この部屋で松陰は読書に専念し、近親者や近隣の子弟たちに孟子や武教全書などを講じ、後の松下村塾につながっていくわけです。その部屋に置いてあった小さな文机がとても印象深くて、こういう和室の書斎が欲しいなぁと思っていました。そのイメージを今回活かしてみました。
拙宅の和室の広さは四畳半です。普通の畳敷きの和室です。収納は押し入れがひとつ、上段と下段に分かれています。上段には洋服をかけてクローゼット代わり、下段は本棚と物置にしています。部屋の中に本棚をひとつ置くかどうか迷ったのですが、まだ決断できていません。部屋が狭くなるのが嫌だったのと、床が本の重みに耐えられるかどうかが分からないからです。

この四畳半の部屋にあるのは、座卓が2つ、座椅子が1つ、ゴミ箱が1つだけです。座卓の1つは、こたつです。夏はこたつ布団は仕舞っておき、ただの机として利用しています。こちらの机の上には卓上ライトしか基本置いていません。この机では、本を読んだり、鉛筆と紙で文章を書いたりするときに使っています。
小説執筆の際は、この机の上に本などの資料が積み重なることになります。というか、机の上だけでなく、部屋全体が本や資料で散らかります。部屋にできるだけものを置きたくないのはこれも理由です。机を中心として、資料を周りに並べることが多いので、そのスペースが欲しいのです。
もう1つの座卓は、机の高さが電動で変えられるタイプのものを選びました。これは、将来座椅子がキツくなったときに、普通の椅子に切り替えたときでも使えるようにしました。この机の上には27インチモニターとM4 MacBook Airを置いてあります。机があまり広くないので、ギリギリ横に並べて置ける状態です。

執筆のメインはこちらの机になります。モニターには原稿を、MacBook Airにはデジタルの資料や辞書を表示してあります。27インチモニターは5Kのものを選びました。和室におけるモニターと目の距離を考えると、27インチが限界でしょう。それ以上大きいと視線があちこちに飛ぶので疲れます。2560×1440という解像度はちょうどウィンドウを2つ横に並べられる広さです。

最終稿より前の段階では左側にDraftsを、右側にClaudeを表示して草稿を書いています。ファクトチェック、壁打ちをAIとやりながら、どんどんDraftsに書き進めていきます。最終稿になると、どちらも出番はありません。Wordだけを起動し、縦書きにして、読みやすさ、レイアウトを意識しながら清書していくことになります。
MacBook Airでは、ファインダーやChrome、物書堂さんの辞書を開いておきます。清書の時は、Claudeもこちらで開いておきます。清書の段階になるとあまりAIのお世話になることはないですが、ふと気付いたことや、ファクトチェックで気になるところを調べてもらったりしています。
座椅子はいろいろ調べた結果、背もたれが堅めで背筋が伸ばせるものを選びました。この椅子は回転するので、畳の上に座っていて立ち上がるときに、くるっと回せば机が邪魔にならずに立ち上がることができます。執筆するときは電動の座卓の方にくるっと、本を読んだり手紙を書いたりするときはこたつの方にくるっと身体を向けられるので、ちょっと肘掛けが低いことを除けば、満足しています。

わたしは今まで和室を書斎にしたことがありませんでした。座卓も、座椅子も初めて使いました。最初は畳に座って作業するのは疲れるのではないかと思いましたが、そんなことはありませんでした。むしろ背筋が伸びますし、脚も痺れないので、長時間の執筆でも全く問題ありません。せっかく、萩という歴史色豊かな場所にいるのですから、和室の良さを再認識するというのも乙なものかもしれませんね。
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