歩きながら校正するということ — iPad miniと読み上げの発見

コラム

今朝は雨だったので、毎朝の日課である外のウォーキングはお休みし、代わりにジムのランニングマシンで1時間ほど歩いてきました。暖かくなってきてからずっと外を歩いていたので、久し振りのジムです。久しぶりにiPad miniでKindleの読み上げ機能を使って読書をしました。

音声でも聴くということで、黙読だけとは違った感覚が得られます。文章のリズムや言葉のひっかかり、意味の跳躍などが、耳からの情報として立ち上がってくる。その面白さを味わいながら歩いているうちに、ふとある考えが浮かびました。

「校正中の小説も、Wordの読み上げ機能を使って聴けるのではないか?」

試してみると、これが思いのほか良かったのです。Word for iPad には「読み上げ(Read Aloud)」という機能があり、文書内のテキストを自動で読み上げてくれます。再生速度や音声の種類を選ぶこともでき、句読点や段落に応じて自然な抑揚で読んでくれる印象を受けました。おそらくKindleアプリが採用しているiPadOSの標準的な読み上げよりも、やや文章としての「まとまり」を意識してくれているようにも感じます。

何より、歩きながら原稿をチェックできるというのが新鮮でした。

わたしは校正はそれこそ何十回と繰り返します。校正というのは、自分の書いた文章をいかに「他人の目」で読むかが問われる作業です。自分だけが知っている背景や意図に引きずられず、読み手の立場に立って文章を見直す必要があります。

だからこそ、読む環境を変えるというのは有効な手段です。横書きから縦書きに、画面から紙に、あるいは声に変えてみることで、視点がずれ、これまで気づかなかった小さなノイズが浮かび上がってくる。

今回のように「耳から聴く」ことで発見できる違和感や間合いの狂いは、書いているときには見過ごしていたものでした。歩きながら聴くことで、身体が自然にリズムを取り、文のテンポや引っかかりに敏感になるという側面もあるように思います。

もちろん、すべてを音声で校正できるわけではありませんが、これは確かに使える手段だと感じました。小さなiPad miniが、またひとつ、私の書く生活に新しい道を開いてくれた朝でした。

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