萩の散歩道 — 町に溶け込む一時間

コラム

今日は、萩での散歩道について書こうと思います。

もともと、毎朝の散歩を習慣にしているわたしは、福岡でも出張先でも散歩を欠かしません。福岡では、街中を30分歩き、その後、近所の公園の内周を3周してさらに30分。合計1時間のコースです。

出張先ではまずGoogleマップを開き、徒歩30分圏内の公園や史跡、景観の良い場所を探して、往復で1時間のルートを組み立てます。これも、ちょっとした楽しみの一つになっています。

ここ萩でも、もちろん散歩を続けています。はじめは、萩城跡周辺と街の中心部にある商店街までを往復する、60分から70分の行程が定番でした。けれど、前回の滞在の最終日に、もっと城下町の魅力を味わえるルートを思いついたのです。今回、それを実際に試してみています。

コースは次の通りです。

  1. まず菊ヶ浜へ行き、海を眺めながら軽く準備体操をします。波音と潮の香りが、眠っていた感覚をゆっくりと呼び覚ましてくれます。タイミングが合えば、日の出が拝めます。
  2. それから萩城跡・指月公園へ向かい、志都岐山神社に参拝します。ここは住人以外はお金を取られるのですが、早朝は自由に出入りができるようです。今回気づいたのでルートに入れました。
  3. 続いて、毛利輝元像にご挨拶します。
  4. 西の浜墓地では、静かに手を合わせ、この場所にいさせていただけることに感謝しつつ、そこから海側へ抜けます。
  5. 鍵曲(かいまがり)の曲がりくねった道を進み、白壁の町並みに目をやりながら、平安古(ひやこ)橋まで歩きます。
  6. 橋を渡ったところで折り返し、帰り道に春日神社に立ち寄って参拝します。
  7. その後、高杉晋作像に一礼。幕末と明治維新に思いを馳せます。
  8. そのまま木戸孝允邸の脇を抜けます。木戸邸は日中によく訪れ、座敷の座布団に腰を下ろして、しばし思索にふけります。すっかり常連になっています。
  9. 最後に田中義一像にご挨拶して、自宅へ戻ります。

こうして、萩城下の名所をほぼ網羅する60分ほどの散歩道が完成しました。歩きながら、わたしはいつも不思議な感覚に囚われます。まるで、自分がこの町の一部になってしまったかのような感覚です。ときには感極まって涙が出てしまうこともあります。

ついこの間まで、訪れたことも考えたこともなかった場所なのに、今ではすっかり馴染んでいます。もっと早くこの町に出会えていたら――そんな思いがふと胸をよぎります。

けれど、今だからこそ出会えたのだと思えば、このご縁を大切にしたいです。静かで、豊かで、歴史の気配に包まれたこの萩という町で、これからも静かに生活を紡いでいけたらと思っています。

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