萩と小説と13,000歩 — 静けさに溶ける一日

コラム

昨日は丸一日、小説の執筆に時間を使いました。いま書いているのは、4万文字程度の短編です。以前は20万字超えの長編も書いていたのですが、最近は短編を書くのが楽しく感じられます。いつか、短編連作で長編を構成したいとも思っています。

とはいえ、天気が快晴だったので、もちろん朝の散歩は欠かせません。萩の海は、菊ヶ浜沿いが透き通るような色をしていて美しいです。白浜が沖まで続いているためでしょう。防波堤の外は濃い碧が目に眩しいほどです。

シャワーを浴び、食パン1枚の朝食を終えてから、1時間ほどエッセイを書きます。小説執筆があろうとなかろうと、noteは毎日書きます。これは書き癖、書き慣れのため。執筆というのは運動や英語の勉強と同じで、毎日やらなければスキルは落ちていきます。

エッセイを書き終えたら、本格的に小説執筆に入ります。第3稿までは既に終えているので、ここからはさらに推敲。書くというよりは、贅肉を削ぎ落とす作業です。似たような文脈や繰り返しの表現がないか、登場人物の名前や用語が統一されているか、時系列に矛盾がないかなどを入念に確認します。

買い物を忘れていたので、昼もトースト。2枚。食後は旧萩城内にある志都岐山神社へ。萩の住人なので無料で入れます。お参りを終えたあとは、春日神社まで歩きます。だいたい20分ほどの行程です。

その途中には、萩の名所でもある「鍵曲(かいまがり)」があります。高い土塀に囲まれた道が鍵手形(クランク状)に折れ曲がり、行き止まりのように見せかけて敵を迷わせる工夫。城下町らしい知恵と風情が感じられる場所です。

春日神社でも参拝を済ませ、自宅へ折り返します。ざっと40分の散歩。朝の散歩とあわせて13,000歩を超えました。ウォーキングは一日6,000〜7,000歩が良いとされているので、やや歩きすぎかもしれません。

帰宅してDiscordにログインします。今日は相方とオンラインの友人たちが『エルデンリング ナイトレイン』というゲームをプレイしており、その様子を音声だけで観戦させてもらうことに。不思議なことに、相方のゲーム音は邪魔になりません。むしろBGMとしてちょうどいいくらいです。

彼らのやり取りを聴きながら、執筆を続行。しかし、なかなか文字数が削れません。削ることで大事な部分が欠けてしまうのではないかという恐怖心が、大胆な編集を躊躇させるのです。

Discordからは「死ぬ死ぬ死ぬ! 死んだw」などという阿鼻叫喚が漏れ聞こえてきます。音声だけ聴いていると、何をやっているのか想像もつかない会話の連続です。わたしはニヤニヤしながら聴いていました。

彼らの声に触発されたわけでもないでしょうが、構成を変えることで削れそうな箇所がいくつか見えてきました。字面だけ追っていると気づかないのですが、構成全体を見直すことで繰り返しや冗長な部分が浮かび上がってきます。

そうした作業を繰り返し、ようやく400字詰め原稿用紙100枚ほどに収めることができました。ギリギリですが、ひとつの形になった感触があります。ゲームのほうも佳境に入っているようで、相方たちもお互いに助け合いながら、死にながらもなんとかクリアに近づいているようです。

ちょうどそのタイミングで夕飯の時間に。執筆に集中したあまり、またもや買い物を忘れていました。冷蔵庫にあった木綿豆腐と挽き割り納豆をおかずに、「サトウのごはん」をチンして簡単な夕食をとりました。

食後も執筆を継続。ふと時計を見ると、もう深夜0時を過ぎています。気づけばゲーム大会も終わっていました。これ以上やっても堂々巡りになるので、続きは翌朝(つまり今朝)に持ち越すことにしました。

萩で本格的に執筆したのは初めてでしたが、想像以上に集中できたのは収穫でした。とにかく静かな場所です。聞こえてくるのは鳥の声、虫の音、そして微かな潮騒と風の音。それが心地よくて、時間を忘れるほど没頭できたのだと思います。

やはり、月に一度は萩に来て、集中的に執筆する時間を持ちたい。仕事はできるだけ福岡で片付け、萩では物書きに徹する。それが、いまのわたしの理想の生活スタイルです。

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