わたしは猫を三匹飼っています。五輝(いつき)、歩(あゆむ)、七海(ななみ)。歳の順に並べるとそうなります。
名前には数字を入れています。かつていた「喜与(きよ)」は四匹目、だから「四」にちなんでいました。いまの三匹は、五、六、七。数字がひとつずつ進んでいく幸せの配列です。
喜与は三毛キジの雌猫で、気性の激しい子だったけれど、相方とわたしを結びつけてくれた大切な存在でもあります。一昨年、十年近く一緒にいた彼女が旅立ち、翌年の五月に新しい家族として子猫の七海を迎えました。
最年長の五輝は、茶トラ白の穏やかな雄猫です。もうすぐ十歳になります。相方が保護猫として連れて帰ってきました。五輝は本当に優しいのです。相方が風呂やトイレに行くと、必ずドアの前でじっと待っています。お客さんが来ても物怖じせず、お腹を見せて撫でさせます。まるで「うちの猫代表」として、お客さんたちを迎えてくれているようです。
歩は六歳くらいの黒猫です。体は大きく、体重は十キロに迫ります。それなのに、驚くほど甘えん坊で、いつもわたしのそばにいます。書斎で仕事をしていると、いつも「あー、あー」と鳴いて、撫でてくれ、膝の上に乗せてくれとせがみます。姿かたちはまるで小さな黒豹。でもその心は、優しくて、あたたかいのです。
七海はまだ一歳ちょっとのキジ猫。一番の甘えん坊で、家の中をぐるぐると巡回しながら、わたしたちに撫でられたり、五輝や歩に舐められたりしています。ひとり遊びも得意で、空き箱や紙くずひとつで延々と創意工夫を重ねて遊んでいます。その様子は、小さな芸術家のようです。
そんなわたしたちの幸せな時間に、去年、影が差しました。五輝の足がふらつくようになり、病院に連れて行ったところ、骨肉腫と診断されたのです。薬を処方されましたが、副作用で食欲を失い、体重が減っていきました。
いまでは、ごはんもほとんど食べなくなってしまいました。水ばかり飲んでいます。けれど、わたしがソファに座ると、変わらずやってきて、隣にちょこんと座り、「撫でて」と静かに訴えます。昨日はもう、ソファに飛び乗れませんでした。わたしはどうしようもなく、涙が止まりませんでした。
猫は「家に懐く」などという言葉をよく耳にします。けれど、それはあまりに表面的な理解だと思います。猫は、人の言葉を持たずして、こちらの心の揺れや気配を読み取り、寄り添ってくれる存在です。
五輝は、わたしたちを癒し、守り、導いてくれました。歩も七海も、その背中を見て育ちました。わたしの妹たちも五輝のことが大好きで、一番下の妹は「五輝は尊い」と繰り返します。まったく、その通りだと思います。
猫たちは、わたしたちの家族であり、心の灯りであり、生きていく理由の一つです。人間以上に、人間のように感じることがあります。優しさと強さ、そして気高さをもって、わたしたちの隣にいてくれます。
五輝、ありがとう。あなたがいてくれたから、わたしはずっと救われてきました。どうか、これからも、あなたが望むかたちで、穏やかに生きていけますように。

コメント