サラリーマンの仕事というのは、ひとりでできるものではありません。かならず複数のメンバーからなるチームで進めることになります。そのチームのなかに自分と違う考え方、進め方をするひとがいたら、あなたはどうしますか。
もちろん、そのひとの進め方がおかしいと感じれば、それを指摘してあげて、道をただしてあげるということをやりますよね。でも、その道が正しいかどうかって、誰が判断するのでしょう。
まず、ビジネスの目標やゴールがあります。そしてそれを実現するためのタスクがあります。ふつう目標が達成できるかどうかは、タスクの質と達成度に依存します。
タスクの中身(いつまでに何をどうやって誰がやるか)を決めるのは非常に大事で、さらに、たいていの場合、そのタスクを実行できるようにするために環境を整える必要があります。そのための行動を「戦略」とわたしはよんでいます。
このタスクの質と戦略は、目標そのものと個人の価値観や経験によって異なることが多く、必ずしも常に決まったものがあるわけではありません。したがって、最初の質問に戻りますと、その道が正しいかどうかは、神のみぞ知るで進行途上では判断できるひとは限られていると思います。
しかし、自分がおかしいと違和感を感じているのに、何も指摘しないのは、目標に対しても、会社に対しても、そのひとに対しても誠実とはいえません。で、ズバッと指摘する。向こうも何も考えていないわけではなく、それなりの判断に基づいて動いているわけですから(たまに本当になにも考えていないひともいますが)、当然反発してきます。
最近はこの指摘と反発がSlackやTeams、Chatworkなどのコミュニケーションツールで行われることが多く、お互いの顔が見えません。表情が分かりませんので、言葉尻だけがエスカレートして、本来の意図が伝わらず、感情的なしこりだけが大きくなっていくことがあると思います。
こういう状況は目標そのものに対しても良くないですし、何よりもそのひととの人間関係を壊すことにもなりかねません。そのひとの賛同者が多い場合、自分だけ孤立して、組織内の人間関係が危うくなることもありえます。
わたしも文章を書くことが好きですから、決して攻撃するつもりはなくても結果として論理的に詰めすぎて、受け取る側からしたら責められているように感じることもあるようです。わたしはこのようなことにならないようにいくつか気をつけていることがありますので、ここで紹介しておきます。
まず、文章は直接コミュニケーションツールに書かないこと。かならず、メモ帳などの自分だけしか見えないローカルのツールを使って下書きをします。
こういうときは、妙に感情が昂って自分は論理的であると思いながら実はそうなっていなくて、やたら長文になることがあります。それはそれでよいです。そのなかにこそ、問題の本質が潜んでいることがあるからです。
自分の直感、感じたものを蔑ろにしてはいけません。それこそがあなたの価値なので大事にしましょう。ただし、それをそのまま他人の目に触れさせてはなりません。
なんにせよいったん書くと、スッキリするはずです。ジャーナリングと同じ原理ですね。腹にあるものを吐き出してしまうと、人間楽になるのです。
スッキリすると冷静になれます。深呼吸を1度、2度してからその文章を読み直しましょう。noteに文章を投稿するときと同じです。推敲をしましょう。感情に任せて書いてありますから、ダブっているところや誤字脱字もあるはずです。
推敲するときに意識すると良いのは、その内容が自分のために書かれているものではないことをチェックすることです。自己主張、自己弁護、文章の主語が自分になっていないか、論理が自己中心になっていないか意識しましょう。
わたしの経験では、最初に書いた文章の半分以下にできて、初めて人に見せられるものになります。正直にいうとnoteの文章はそこまでやっていませんが、ビジネス関係の文章はそのようにすると劇的に品質が上がります(これはスライドなどの資料もそうで、最初に作ったスライドの半分以下におさめられると、良い提案書になる可能性がグッと高まります)。
文章ができたら次にやることは、その文章を最初に誰に見せるかを考えることです。Slackであれば、そのチャンネルにいるひとたち全員に見せるのか、特定のひとをメンションして送るのか、あるいは、特定のひとにDMで送るのかを考えてください。その情報、文章を送って、最も効果のあるひと、方法で送らなければなりません。
わたしの場合、対象のひとひとりを説得するときは、その人に対してDMで送ることが多いです。このひとに仲間がいて、自分の味方も含めて目に触れた方が良いときはチャンネルにそのひとをメンションして、他のひとも見える形で送ります。その意図は、議論を誘発することです。そのひと個人と議論するより、意識的に周りを巻き込んで議論して合意をとったほうが良いときです。
メンションをしない、つまり宛先を明示しないで送ることはほとんどありません。特に、議論をしたいときや自分の意見を通したいときは、誰に納得してほしいか、明確にその人たちを意識してメンションします。宛先がない問題提起は黙殺されることもありますし、責任の所在が不明確になります。例外は情報共有するときだけです。
最後に、かならずフォローアップしましょう。文章を送りっぱなしにしないことです。送りっぱなしでなんの反応もないことを許すくらいなら、送らないほうがマシです。
わたしは必ずフォローアップします。状況によって投稿のスレッドでフォローすることもありますし、個別にDM、あるいは直接電話をしたりメールをしたりすることもあります。
決して自分の投稿を放置してはいけません。必ず決着をつけることです。そうでないと、次回からあなたのいうことに取りあってくれるひとがグッと減ります。自分の立場や重みを組織の中で自ら貶めることになります。