うなぎが呼んでいる — 博多でひつまぶしを

コラム

昨夜は、無性に鰻が食べたくなりました。

出張続きの疲れが溜まっていたのかもしれません。鹿児島、東京と飛び回って、身体がスタミナを求めていたのでしょう。向かったのは天神、岩田屋新館7階にある「博多まぶし味素楽」さん。実は当初、本館地下2階の「元祖本吉屋」さんのイートインで鰻をいただくつもりだったのですが、残念ながら完売。失意のまま館内を歩き回り、ようやく見つけたのがこの店でした。

味素楽さんでは、穴子も美味しそうだったのですが、やはりどうしても鰻が食べたくて、ひつまぶしを選びました。一杯目はそのまま混ぜて、素材の味を楽しみます。二杯目は薬味とともに香りを添え、そして三杯目は、特製の出汁をかけてお茶漬け風に。どれも美味しく、ついついビールを一杯。

思えば、ひつまぶしを最後に食べたのは、もう何年も前。名古屋へ出張したとき、上司と一緒に食べたのでした。あの時のひつまぶしは味が非常に濃く、パンチの効いた印象が残っています。それに比べると、今回のひつまぶしはさっぱりとした塩加減で、出汁もやさしい味わい。年齢を重ねた今の私には、むしろこのくらいの方がちょうどよく感じられました。

ただ、こうも暑くなってくると、もう少しこってりとした蒲焼重も恋しくなってきます。東京に住んでいた頃、神田のどこかの鰻屋さんで食べた蒲焼。とびきり美味しくて、値段も驚くほど高かったけれど、あの味はいまだに忘れられません。

福岡も鰻の名店が多いと聞きます。次はちゃんと事前に調べて、鰻重をじっくり味わってみようと思います。

鰻もまた、季節の食べ物ですね。昨日は四季の移ろいについて書きましたが、食の季節感もまた、日本の美しさのひとつ。変わらずにあってほしいものです。季節の旬を、その時その場で、美味しくいただける世界であってほしいと、ひつまぶしの余韻の中で思いました。

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